
子どもの手が出て困っている保護者の方はいませんか。
自分の子どもが相手に叩いたり押したりすると、
「なんでそんなことをするの?」と頭を抱えてしまいますよね。
はじめまして。
私は元公立幼稚園教諭として7年間勤務し、現在は4歳と2歳の男の子を育てている藍野あきです。
子どもが叩く姿を見て
「いじわるな子に育ってしまったのでは」
「私の育て方が悪いのだろうか」
と不安になる方も多いはず。
でも、安心してください。
叩く・押す・物を投げるなどの行為は、個人差はありますが、2~3歳ごろに多く見られる姿です。
これは、体も心も発達の途中だからこそ起きる行為で、育て方のせいではありません。
「なぜ叩くのか」を知れば、対応も変えることができます。
この記事では、2~3歳児が「なぜ叩いたり蹴ったりするのか」「どのように対応するといいのか」を、元幼稚園教諭&現役ママが、分かりやすく解説します。

明日から実践!関わりを一緒に学びましょう♪
なぜ叩くの?発達心理学の視点で見る3つの理由

2~3歳児は、いわゆる「イヤイヤ期」と呼ばれる時期です。発達心理学では「第一次反抗期」とも言います。
この時期は、自己主張が強くなる一方、コントロールが未熟です。
叩くのもその表れの一つです。
ここでは、発達心理学の視点から深堀りし、「なぜ叩くのか」を3つ解説します。
イヤイヤ期の本当の意味についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
イヤイヤ期がつらいのはなぜ?発達心理学でわかる3つの理由と関わり方
言語能力が未熟
言葉が爆発的に増える時期ですが、複雑な感情(「悲しい」「悔しい」)はまだ伝えきれません。うまく伝えられないもどかしさから、思わず手が出てしまいます。
気持ちをコントロールする力が未熟
脳の発達にも目を向けてみましょう。
この頃の脳は著しく成長を遂げていますが、前頭前野の発達は未熟。
つまり、「気持ちや行動をコントロールする力」が発達途中ということです。
前頭前野は、3歳頃から急成長し、成熟するのは20代後半と言われています。
「おもちゃを取られて悲しい」と感じたら、「叩くのはダメなこと」と思いとどまれず、
悲しい気持ちでいっぱいになって叩くという行動に出てしまっているということですね。
観察学習をしているから
子どもは、大人や周囲の行動を見ながら学んでいます。
周囲の大人やメディアで「叩く=問題解決」と見ると、真似することがあります。
これを発達心理学では「観察学習」と呼びます。
この場合、子どもは「叩くことはダメなこと」と思っていないことが多いです。
手が出るときの子どもの思いは5種類|思いを満たす対応は?
手が出てしまったときは、その前後の出来事や子どもの話から、「なぜ手が出てしまったのか」を考えると正しい対応ができます。
子どもの行動には必ず理由があります。
行動の中に隠された子どもの思いを読み取り、思いが満たされるよう対応することが大切です。
子どもの思いは主に5種類に分類することができます。
「○○したい!」
「積み木で遊びたい」「早くすべり台を滑りたい」など、欲しいものやしたいことがあるときです。
したいことを早く実行しようとして、
「積み木で遊んでいる子を叩いて自分のものにする」
「順番を待てずに前の子を押す」
などの行動に出てしまうことがあります。
対応するときは、したいことを満たせる方法を知らせてあげましょう◎
- 同じおもちゃを渡す
- 「『貸して』って言おう」と言葉で伝える方法を示す
- 一緒に順番を待つ
- 他の遊びに誘導する
このように子どもの遊びたい思いに寄り添うことで、叩かなくても気持ちが満たされる経験を積み重ねていくことができます。
「取らないで!怖い!」
おもちゃを取られたり遊びに他の子が入ってきたりするとき、
「取られた!」
「急に入ってきて怖い」
という気持ちから、叩く・押すなどの行動に出ることがあります。
まずは子どもが安心できるように関わりましょう。
ぎゅっと抱きしめてあげたり抱っこしたりとスキンシップをとるのもいいですね。
そしてしたいことをできるように、友達と少し距離を取ったり、場所を分けたりすると、安心して遊べることもあります。
「見てほしい!」
親にかまってほしくてわざと叩いているパターンです。
我が子が誰かを叩くと、親はみんな「ダメでしょ!」と子どもに注意をしますよね。
親としては子どもに注意をしているだけですが、子どもにとっては「自分のことを見て話をしてくれている」と捉えることがあります。
子どもが遊んでいるときや落ち着いているときは、どうしても親も休憩したくなるもの。
しかし、少しでも一対一で向き合う時間があると、「ママは見てくれている」と感じて叩かなくなることがあります。
また、「ママ見て!」に「いいよ」と返事をするだけでも、言葉でママを振り向かせる方法もあると伝えることができます。
「気持ちがあふれている」
自分の中の感情が高ぶってしまって、コントロールが効かず周りが見えなくなるような状況のときです。
こうなったらまず第一にすることは気持ちを落ち着かせること。
そっと見守る、抱きしめる、一人になれるところに移動するなど、その子にあった方法を模索していきましょう。
そして、「○○したかったんだよね」と気持ちを言葉で代弁してあげると、子どもは「分かってくれた」と安心します。
「真似している」
観察学習の一例で、悪気なくメディアや大人の真似をして叩きます。
この場合は、正しい問題解決方法を示してあげることが重要です。
「こうしよう」とその都度丁寧に教えてあげましょう。
そして、周りの環境を整えて、間違った方法を身につけないようにしましょう。
このように、「叩く」行為に隠れている子どもの思いは様々です。
なぜ叩いたのかを読み取って、子どもが満たされる対応を意識しましょう。
おもちゃの取り合いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

対応するときのポイントは5つ!元幼稚園教諭が意識していたこと

ここまで、子どもの思いや気持ちに沿った対応を紹介してきました。
経緯や理由を理解して対応することはもちろん大切ですが、幼稚園教諭時代は、どんな理由であれ意識していた点がいくつかあります。
ポイントは5つ!
明日からの育児にぜひ活かしてみてくださいね。
①落ち着くまで待つ
まずは気持ちが落ち着くまで待ちます。
この時に、合わせて「共感する」「代弁する」ことを意識。
「分かってもらえた」と安心することで、気持ちがすーっと落ち着くことが多い印象です。
②短くダメなことを伝える
気持ちが落ち着いたところで、「叩くのはダメ」とだけ伝えます。
基本的なことではありますが、子どもに長々とダメな理由を伝えても、集中して聞くことができません。
幼児が集中して話を聞ける時間は、「年齢+1分程度」と言われることも。
だからこそ、叱るときは短く・具体的に伝えることが大切です。
また、伝えたあとは、親が気持ちを切り替えて普段通りに接することもポイントです。
③子ども自身ではなく「行動」を叱る
よく言ってしまいがちなのが「なんでそんないじわるなことするの?」。
遠回しに子ども自身を否定している言葉なんですよね。
こういう言葉を繰り返し伝えていると、「なんで僕・私はダメなんだろう」と自己肯定感が下がるなんてことにもなりかねません。
ポイントは、子ども自身を否定するのではなく、行動だけを否定すること。
子どもが叩いてしまったとき、
「叩くのがダメだったね」
「叩く手がダメだったね」
と親が言うことで、ダメなのは「叩く」という行為であることを伝えることができます。
④自分ごとにとらえられるように理由を話す
「痛いことはダメ」
このように伝えるだけでもいいんですが、子どもが「自分が困る」と感じられるように話すと、さらに理解が深まっていると実感しています。
例えば、
「痛いことすると、どんな理由があってもあなたが悪くなっちゃうよ」
このように話をすることで、長男は「それはいやだ」と言ってやめることが増えました。
これは叩くときだけでなく、他の場面でも使えます。
例えば、
食後走り回っているのを止めたときは
「食べてすぐ走るとおなかが痛くなるかもしれないよ」
靴下をはきたがらないときは
「靴下がないと石が入ったら痛くなるよ」
など。
このように、理由を話すときに子どもが「それは困るな」と思えるように話すと伝わりやすくなります。
①叩き返す
痛みが分かるようにと思ってやってしまいますが、子どもは「叩くことは正しいことなんだ」と間違った方向に学んでしまいます。
私も長男に叩き返してしまったことがありましたが、長男が次男に「ほら、痛いでしょ」と叩いてみせたときに、「これはダメや」と大反省しました。
②感情的に怒る
心と体に余裕がなくなると、思わず怒ってしまうもの。
しかし、子どもの中には「怖い」しか残らず、伝えたいことが伝わっていないことが多いです。
③比較する
「○○ちゃんはしないのに」といった比較は、子どもの自尊心を傷つけるだけで根本解決にはなりません。
事前にできる対応は?効果的な「叩かなくてすむ」予防策6選

ここまで叩いた子どもへの対応を解説してきました。
しかし、親が何よりも望むのは「叩かないでほしい」ですよね。
叩かないで済むように事前にできることはたくさんあります!
その中でも効果的だった6つの予防策を紹介します。
おもちゃの選別
友達が家に遊びに来ることになったらぜひしてほしいのがおもちゃの選別です。
取り合いになりそうなものはそっと押し入れへ。
ブロックや積み木、車などは数を最大に。同じものがあれば2つ準備して。
取り合いになったときに「こっちにもあるよ」で解決することができますよ。
スキンシップ・一対一の時間
親との関係を安定させることが、穏やかに過ごすための一つの鍵となることが多いと感じます。
少しの時間でいいから抱っこしたり手をつないだりするだけでも子どもは安心します。
事前の約束
事前に約束をすることは、幼稚園でもよく取り入れている方法です。例えば遠足に出発する前に約束事を確認する、というように。
「叩く場面がありそうだな」と思ったら、その前に「叩くってよかったっけ?ダメだったっけ?」と確認するといいでしょう。
「叩くのはダメだよね。もし困ったことがあったらママに教えてね」
このように伝えることで、言葉にできず気持ちがあふれてどうしようもなくなったときもママに助けを求められるようになっていきます。
「ママがお助けマンで、いつもそばにいるよ」ということを絶えず伝えていきましょう。
ほめる、認める
子どもが叩かずに「貸して」や「入れて」と言えたとき、順番を待てたとき、ママに助けを求められたときなどは、必ず「叩かないで○○できたね」と言葉にしてほめてあげましょう。
この積み重ねが、叩く行動を減らす近道となります。
言葉を使う練習
言葉を使うことができるようになると「叩く」という手段を選ばなくても相手に伝えられるようになります。
言葉を使えるようになるには、親が意識して言葉を使っていくことが大切です。
例えば、子どもが泣いたり怒ったりする場面では「○○して悲しかったね」「○○が嫌だったね」など感情に言葉をつけてあげるとよいでしょう。
また、「貸して」「入れて」「一緒にしよう」などの言葉を親と子の遊びの中で積極的に使っていくことで、学ぶことができます。
力加減を学べる遊び
叩くつもりがなくても力加減ができずに結果的に相手を叩いてしまう場面も2~3歳ではあるでしょう。
生活の中で力を”抑える”ことをやってみると、力加減を学ぶことができますよ。
例えば、
- そーっと歩く
- 料理を運んで机に置く
- ほっぺをつんつんする
など、あえて力を弱める行動を取り入れてみてください。
体の色々な部位の緩急を体感することで、力の強弱もわかってくるようになりますよ。
また、「優しくタッチしてみよう」など、遊びの中で力を弱める経験を増やすのもおすすめです。
まとめ|叩くのは発達途中だからこそ見られる姿

ここまで、叩く行為について発達心理学的な理由や背景、子どもの思いから考えた対応や、意識するとよいポイントなどを紹介してきました。
この記事を読んで、少しでも「こうすればいいんだ」と思ってくれたら幸いです。
叩く行為は、育て方が悪いわけでも、その子の性格の問題でもありません。
発達の途中だからこそ見られる姿です。
子どもの行動に悩みながら、この記事を読んでいる時点で、あなたはちゃんと子どもと向き合っています。
完璧を目指さなくて大丈夫。
少しずつ、その子に合った関わり方を見つけていきましょうね。


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